ダメなのは知ってるけど

ささくれ千切っちゃったりする

あきらめムード

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「今日から、3日間、1日4時間の残業をしてもらう。・・・残業代は出せない」

夕方4時いきなりそう告げられた。皆聞きながら仕事を続けている。怒りの声を上げたり、抗議する者は、誰も無い。ため息をつく者がいるぐらいだ。

この会社、J工業は、機械、主に車の部品を生産する工場で、従業員のほとんどが工場内の作業員である。独立した企業であり、業績もまずまず、というと聴こえは良いが、実際はA自動車へ収める部品が全製品の8割を占めている。

今回の急な残業だって、A自動車が急に無理を言ってきたに決まっている。A自動車には逆らえない。残業代が出なくっても仕方がない。あそこへ収める部品の利益はギリギリなのは知っている。給料が出るだけマシさ・・・なんて皆も考えている。

独立した企業、などといっても、J工業は体のいい子会社のようなものだ。役員の一人はA自動車のOBが務め、A自動車の連絡事務所が敷地内に作ってある。その事務所はJ工業の負担で作られ、そこで働くA自動車の社員の手当もこっち持ちだ。しかも、わが敷地内にお越しいただきましてありがとうございますとばかりにニコニコな態度で接しなければいけない。A自動車の社員は王様気分で、ここではやりたい放題だ。おまけに最近は事務所が少し手狭になってきたらしく、増築を要求されているようだ。A自動車様には逆らえまへんってか。

自分達はただの労働者、残業代は権利だ。会社の経営のことまで考えてやることはないのかも知れない。しかし、そんな声を一人であげたって、ここに居づらくなるだけだ、辞めたって次の仕事のあてもわからないし、どこだって結局ここと一緒かも知れない。いや、J工業で正社員で居られる状況だけでかなりマシといえるのかもしれない。昔より業績は落ちたが、もっと悪い所の話もよく聞くのだ。

A自動車の下請けにいるほうがまだマシさ、と言う話を他から転職した人から聞いた。

C自動車などは、下請けを完全に子会社化して本社からどんどん社員を出向をさせ、もともとの社員を人間扱いしないという事だそうだ。そんな話を聞くにつれ、まだマシなのかな?と皆が思っている。それもあって、会社に面と向かって反抗する者も居ないと言うわけだ。

それにしても最近になってからよくない話ばかりだ。わが社の社長はA自動車の忠実なるイエスマンだ。まあそうでなくてはJ工業の社長は務まらないのだが、もうちょっと上手くやってくれる先代達も居たらしい。現社長は近来稀に見る忠犬っぷりだ。このままではまた苦しいことになることだろう。

A自動車の新社長は営業畑出身のバリバリのビジネスマンであり、利益最優先で、”A自動車第一主義”をスローガンに掲げ、下請け虐めにやる気満々とのことだ。

この社長同士の組み合わせはさすがにまずい。A自動車の最新高級車を社用車として購入することを早速決めてきてしまった。かなりの台数を買うらしい。そのお金があれば老朽化した設備が楽勝で買い換えできるのだが・・・。

現経営陣もそれなりによくやっていると言う社員もいるし、逆に駄目だと言う人もいる。誰がやっても一緒だよ・・なんて思っている社員が一番多かったりするのだ。

この会社を包むあきらめムードよ。

とにかく、とにかく、とりあえず今日を明日を生きるため、なにも考えず、とりあえず言われたとおりに残業をしよう。

今日も明日も明後日も

もしかしたら明々後日も