私は世界を三度救っている。
今から20年後に世界は滅亡する。
戦争だ。凄まじい威力の兵器を撃ち合った。
そして世界は滅亡した。
人類は死に絶える。
突然、目が覚めた。世界は滅亡したはずだ。私も死んだはずだ。
周りを見渡す。兵器の熱と轟音の無い、まだ穏やかだった世界。
戻っている。
タイムリープと言うやつだろうか?
20年前の私に戻っていた、20年後の記憶を持って。
自分以外に未来の記憶を持つ者は居ないようだった。死に往く人類最後の願いが一人分の記憶だけをなんとか過去を送り込んだのだろうか?選ばれてしまった気がした。
天災ではなく人の起こしたこと、我々がもう少し賢ければ防げたはずだった。
私は滅亡を避けるべく必死で努力した。
一瞬で赤く染まり、端から熔けてゆく世界、それを思い出すと何でも出来た。どんな手段でも使った。
そして、滅亡の年から30年後、年老いた私は、平和の中で満足して死んだ。
目が覚めた。
また、戻っている。
先ほど私が死んだ50年前、そして滅亡するはずの年からの20年前に、戻っていた。
記憶は全て持っている。前回と同じ状況だ。
同じ事を行った。今度も世界を滅亡から救った。
目が覚めた、死んだのに。
戻っている。
もう一回繰り返した。
そして、また目が覚めた。人類を救うべく選ばれたのではなかったのか?
救っても救っても戻ってしまう、もう戻りたくない。死んでいたい。
だから、ひとつ自殺をしてみようと思う。
どうなるかはわからないが、また同じように戻ってしまうのなら、仕方がない。知っていて見て見ぬ振りも出来ない、やはり天命であったのだと思い、何度でも滅亡を回避すべく動くつもりだ。
だが、この世界で私は死んでいる。
タイムリープするのは次の世界だ。私が救えるのは次の世界だ。
この世界の私はどうしたって死んでいる。今から私は自殺をするのだ。
そう、今回は、
だから、今回だけは、
あなた達でなんとかしてくれ。